「コンバーティブル投資手段」活用ガイドライン

「コンバーティブル投資手段」活用ガイドライン

経済産業省が以下の概要等の「コンバーティブル投資手段」活用ガイドラインを策定しました(経済産業省HPより)。スタートアップ企業が有効な資金調達の手段としてJ-KISSなどの転換価格調整型新株予約権を活用することを後押ししています。

概要

経済産業省は、株式取得に先立って機動的な資金供給を実現する新株予約権等の「コンバーティブル投資手段」について、我が国における活用実態調査を基に、普及の阻害要因となっている実務処理の解説や、適切な利用に向けた交渉ポイント・相場水準等を含むガイドラインを策定しました。
(目次)
・エグゼクティブサマリー
・第1章 本ガイドラインの背景 – スタートアップ資金市場の課題
・第2章 「コンバーティブル投資手段」 の意義
・第3章 活用の具体策①シード期スタートアップの資金調達
・第4章 活用の具体策②事業会社とのオープンイノベーション
・参考①:「コンバーティブル投資手段」に関する研究会の概要
・参考②:本ガイドラインの策定にあたる協力者一覧

「コンバーティブル投資手段」の可能性

―ウィズコロナ期における機動的なリスクマネー供給・オープンイノベーションの促進―
コロナ禍により市場環境の不確実性が増大するなかで、スタートアップは、新たな需要の獲得に向けた先行投資が必要となる一方、投資家は、投資判断時慎重にならざるを得ない状況にあります。
これら実体経済と金融市場双方の課題を解決する手段として、転換価額の算定式のみが設定された新株予約権等により資金供給を行い、将来企業価値評価の正確性が高まったタイミングで株式転換を行う「コンバーティブル投資手段」に注目が集まり始めています。特に、次の3点の特徴から、スタートアップ・エコシステムの強化に向けた活用余地が大きいと考えられます。
①企業価値評価を先延ばしすることが出来るため、シード期のディープテック系スタートアップ等企業価値評価が困難な企業に対しても先行投資が容易になるとともに、そうした企業が不適切な評価で株式を発行することにより将来の資金調達が制約されるリスクや投資家が過度に高値掴みをするリスクを抑えることが可能になる。この特徴から、シード期のロボット系・宇宙系・社会課題解決系スタートアップが利用する先行事例が存在。
②企業価値評価だけでなく株主間契約等法務面の手続きも後回しにすることが出来るとともに、また投資家1者ごととの相対取引が可能となるためことから、スタートアップへの機動的な資金供給が可能になる。この特徴から、コロナ禍により資金調達ラウンドが停止し多額のブリッジファイナンスが必要となったアーリー期以降のスタートアップが利用する先行事例が存在。
③その株式転換要件次第で柔軟なインセンティブ設計が可能になる。この特徴から、事業会社とスタートアップが協業を始める際に、デット性資金で調達を行った上で実証実験の進捗に応じた株式転換要件を設定することで、リスクの高い協業案件を実現可能とし、さらに両者のインセンティブ・コミットメント強化を通じて協業の成功に寄与するといった先行事例が存在。
以上のような特徴を有することから、「コンバーティブル投資手段」は、米国のシード期調達の半数を占めており、英独でもコロナ禍後のスタートアップ向け経済対策として活用されるなど、海外ではウィズコロナ期における一般的な投資手段として定着しています。
他方、我が国では、認知度が低い・適切な理解が進んでいない・実務処理がやや複雑になり得る、といった課題から、シード期での活用は1割程度にとどまっている。またその殆どがVCやエンジェル投資家によるもので、事業会社が活用するケースは少ない。

そこで、先行事例の分析を基に、阻害要因となっている実務処理の解説や、適切な利用に向けた交渉ポイント・実態調査に基づく相場水準等を含めたガイドラインを策定することといたしました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA